タヒチ産バニラビーンズ専門店 バニラヤ

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2018/02/21 17:12




こんにちは。
バニラヤに関心を持っていただき、ありがとうございます。

バニラヤでは、ブラックゴールドと呼ばれるタヒチ産のバニラビーンズを取り扱っております。
当方で販売しておりますプリンも、同上のバニラビーンズをふんだんに使用して製造しているのですが、
そもそも我々が声高に叫んでいる「タヒチ産バニラビーンズ」とは一体何なのか、
市場に広く浸透しているブルボンバニラと何が違うのか、
なぜ我々はタヒチバニラに強いこだわりを持っているのか、といったことを皆様にもぜひ知っていただきたいと思いました。当ブログでは少しずつ、いろいろなお話をしていきます。


まずは、タヒチ産バニラビーンズの外見の特徴についてお話します。

バニラビーンズは、ラン科の植物のさやを収穫後、発酵させてつくります。タヒチバニラ(学名:バニラタヒテンシス)のさやは最大で長さ25センチ以上にもなり、太く、種が取りだしやすいのが特徴です。
またブルボン種に比べて熟してもさやが裂けにくいので、完熟したベストなタイミングで収穫・加工できるので豊かな香りが楽しめます。

では、バニラビーンズの醍醐味、香りの特徴は何でしょうか。

タヒチ産バニラビーンズの香りの特徴を言葉にすると、芳醇で複雑。
ふくよかな甘い香りに加え、アニス系のややスパイシーな香りも持ち、華やかな香りで世界中の有名シェフやパティシエを魅了しています。バニラアイスやカスタードクリームなどの洋菓子にバニラビーンズは欠かせないですよね。

実は1925年まで、タヒチはバニラビーンズ生産量で世界2位を誇っていました。
しかしその後、人工香料やブルボン種のバニラビーンズに押され、現在ではタヒチバニラは世界で生産されているバニラビーンズの1割にも満たない希少な存在となってしまったのです。そのため、タヒチバニラは別名ロー・ノワール(黒い金)と呼ばれ、タヒチ国内においても黒トリュフより高い価格で取引されているのです。

タヒチのバニラ産業について、少し興味を持っていただけたでしょうか。
そもそもタヒチってあまり耳慣れない国ですよね。そんな方にも、せっかくなのでバニラビーンズという側面からタヒチを知っていただけたらと思います。


フアヒネ島のバニラプランテーションの様子です。

プランテーションの中はこのようになっています。

元々タヒチには野生のバニラはなく、フランス統治下の1848年、フランス軍提督によって運ばれ、花を楽しむ観賞用植物として広まりました。
1880年頃から本格的にバニラビーンズの栽培がスタートし、ピークの1949年には300トンものバニラビーンスが生産された記録が残っています。現在でもタヒチバニラは全生産量の90%以上が輸出されていて、観光、養殖ブラックパール、漁業に並ぶタヒチの重要な産業の1つです。
しかし、バニラの栽培は難しく、収穫量は天候に大きく左右され収入が安定しないなどの理由から、生産者が少なくなっているのが問題でした。そんな現状と、タヒチバニラの世界的な需要の高まりを受け、タヒチ政府は生産量拡大と価格安定のため巨額の補助金の交付を計画しています。


開花間近のバニラの花のつぼみです。
バニラの苗は植えてから花をつけるまで3年以上もの年月がかかります。強風が苦手で、湿度が高すぎても低すぎても、また寒すぎても暑すぎても枯れてしまう、とてもデリケートな植物です。
花は数時間しか咲かず、自ら受粉できないため、人がマリアージュ(受粉)を手伝わなけれななりません。とても繊細なバニラのマリアージュにはスピードと技術が欠かせないのです。
受粉したバニラの花はさやになり、10ヶ月ほどかけてゆっくり緑色から茶色へと熟し、収穫されます。

通常、バニラのさや3キロから約1キロのタヒチバニラがつくられます。

しかし、実は収穫した時点では、まだバニラ特有の芳しい香りはしません。そこから乾燥・洗浄・熟成・マッサージという80以上にものぼる複雑な工程のキュアリングを経て、やっと世界一のタヒチバニラが誕生するのです。

もちろんそこには職人の知恵と技術が必要不可欠です。


ここまで読んでいただいて、タヒチ産バニラビーンズの外見と香りの特徴、
またタヒチのバニラ産業について、ご理解いただけたのではと思います。

そして同時に、いくつかの新たな疑問をお持ちなのでは、とも思います。
例えば、職人って誰なんだろう、どうやって職人になったのだろう、この産業で職人とはどれほどの存在なのか、など。ごもっともです。わたしたちにとってバニラ熟成職人とはまさに未知の領域ですよね。

そんな謎めいた、素敵な職人について、次回の記事で詳しくお話ししようと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。